記録的短時間大雨情報や大雨特別警報って何?発表される基準は?

記録的短時間大雨情報

近年、日本各地で大雨による災害が多く発生していますね。

そんな中、大雨の際にニュースなどでよく聞いたり見たりする「記録的短時間大雨情報」というワードがあります。また、近年たまに発表されるのが「大雨特別警報」です。この「記録的短時間大雨情報」や「大雨特別警報」についての具体的な内容や、どのような基準発表されるのかご存じない方もいらっしゃるかもしれません。

そこで、今回はこの「記録的短時間大雨情報」や「大雨特別警報」について調べてみました。

目次

記録的短時間大雨情報って

それではまず、記録的短時間大雨情報とはどのようなものなのか確認しましょう。

記録的短時間大雨情報とは?

数年に一度程度しか発生しないような短時間の大雨を、観測(地上の雨量計による観測)したり、解析(気象レーダーと地上の雨量計を組み合わせた分析:解析雨量)したりしたときに発表します。この情報は、現在の降雨がその地域にとって土砂災害や浸水害、中小河川の洪水災害の発生につながるような、稀にしか観測しない雨量であることをお知らせするために、雨量基準を満たし、かつ、大雨警報発表中に、キキクル(危険度分布)の「危険」(紫)が出現している場合に発表するもので、大雨を観測した観測点名や市町村等を明記しています。雨量基準は、1時間雨量歴代1位または2位の記録を参考に、概ね府県予報区ごとに決めています。

引用:https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/bosai/kirokuame.html

ここで分かることは、記録的短時間大雨情報発表される基準の一つとしては、まずは大雨警報が発表されていることが前提であるということがわかりますね。このことは筆者も知りませんでした。

そして、記録的短時間大雨情報発表される基準がもう一つ。雨量が基準を満たしたときに発表される情報であるということになります。

ここで、大雨警報についてもおさらいしておきましょう。

大雨警報は、大雨による重大な土砂災害や浸水害が発生するおそれがあると予想したときに発表します。特に警戒すべき事項を標題に明示して「大雨警報(土砂災害)」、「大雨警報(浸水害)」又は「大雨警報(土砂災害、浸水害)」のように発表します。雨が止んでも重大な土砂災害等のおそれが残っている場合には発表を継続します。 
引用:https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/bosai/warning_kind.html

記録的短時間大雨情報発表される雨量基準は?

この記録的短時間大雨情報ですが、実は、発表される雨量基準が県(区域)ごとに違っていて、日本全国一律ではありません。具体的に確認していきましょう。

なお、以下表のmmの数字は、1時間雨量を示しています。

北海道の記録的短時間大雨情報発表される雨量基準

区域発表基準
宗谷地方80mm
上川・留萌地方90mm
石狩・空知地方100mm
後志地方80mm
網走・北見・紋別地方90mm
釧路・根室地方80mm
十勝地方90mm
胆振・日高地方100mm
渡島・檜山地方100mm

東北地方の記録的短時間大雨情報発表される雨量基準

区域発表基準
青森県90mm
秋田県100mm
岩手県100mm
宮城県100mm
山形県100mm
福島県100mm

関東地方の記録的短時間大雨情報が発表される雨量基準

区域発表基準
茨城県100mm
栃木県110mm
群馬県100mm
埼玉県100mm
東京都:東京地方・伊豆諸島100mm
東京都:小笠原諸島80mm
千葉県100mm
神奈川県100mm

中部地方の記録的短時間大雨情報発表される雨量基準

区域発表基準
長野県100mm
山梨県100mm
静岡県100mm
愛知県100mm
岐阜県100mm
新潟県:上越・中越・下越100mm
新潟県:佐渡80mm
富山県100mm
石川県100mm
福井県80mm

近畿地方の記録的短時間大雨情報発表される雨量基準

区域発表基準
三重県120mm
滋賀県90mm
京都府90mm
大阪府100mm
奈良県100mm
兵庫県:北部100mm
兵庫県:南部110mm
和歌山県110mm

中国地方の記録的短時間大雨情報発表される雨量基準

区域発表基準
岡山県:北部100mm
岡山県:南部90mm
島根県100mm
鳥取県90mm
広島県110mm
山口県100mm

四国地方の記録的短時間大雨情報発表される雨量基準

区域発表基準
徳島県:北部110mm
徳島県:南部120mm
香川県90mm
愛媛県100mm
高知県120mm

九州地方の記録的短時間大雨情報発表される雨量基準

区域発表基準
福岡県110mm
大分県110mm
長崎県110mm
佐賀県110mm
熊本県110mm
宮崎県120mm
鹿児島県:奄美地方以外120mm
鹿児島県:奄美地方120mm

沖縄県の記録的短時間大雨情報発表される雨量基準

区域発表基準
沖縄本島地方110mm
大東島地方100mm
宮古島地方120mm
八重山地方:石垣島地方120mm
八重山地方:与那国島地方100mm

ご自分が住んでいる地域がどのくらいの雨量になったら記録的短時間大雨情報発表されるのか、基準を確認しておくのも、防災の一つかもしれませんね。

大雨特別警報って何?

では、次に大雨特別警報について確認していきましょう。

大雨特別警報とは?

台風や集中豪雨により「数十年に一度の降雨量となる大雨」が予想されるときに発表される。避難指示に相当する気象状況の次元をはるかに超えるような状況である。

危険度の順番としては以下のようになるようです。

  1. 大雨注意報
  2. 大雨警報
  3. 記録的短時間大雨情報(大雨警報中)
  4. 大雨特別警報

大雨特別警報になると、「数十年に一度の降雨量となる大雨」が予想されますので最大限の注意が必要ですね。

大雨特別警報発表される基準は?

では、大雨特別警報発表される基準はどのようなものなのでしょうか?

実は、最近改定されておりご存じない方もいらっしゃると思いますので、しっかり確認していきましょう。

2022年6月30日からの大雨特別警報発表基準①土砂災害の場合

過去の多大な被害をもたらした現象に相当する土壌雨量指数の基準値を地域毎に設定し、この基準値以上となる1km格子が概ね10個以上まとまって出現すると予想される状況において、当該格子が存在し、かつ、激しい雨がさらに降り続くと予想される市町村等に大雨特別警報(土砂災害)を発表します。

2022年6月30日からの大雨特別警報発表基準②浸水害の場合

過去の多大な被害をもたらした現象に相当する表面雨量指数及び流域雨量指数の基準値を地域毎に設定し、以下の①又は②を満たすと予想される状況において、当該格子が存在し、かつ、激しい雨がさらに降り続くと予想される市町村等に大雨特別警報(浸水害)を発表します。
① 表面雨量指数として定める基準値以上となる1km格子が概ね30個以上まとまって出現。
② 流域雨量指数として定める基準値以上となる1km格子が概ね20個以上まとまって出現。

うーん、なかなか難しいですが…

ようは、土壌の水分保有量や表面の雨量などを計測して基準値以上の場所が多い場所がまとまって出現して、かつ継続的に大雨が降り続く場合に発表するということになるのでしょうか。

【参考】2022年6月29日までの大雨特別警報発表基準

大雨特別警報発表される基準については、2022年6月29日までは、「50年に一度の雨量」というものが県(区域)別に設定されていて、それを超えた雨量になった時に発表されるというものになっていました。

具体的には、48時間雨量3時間雨量土壌雨量指数という3つの値が設定されていました。その基準値を5km四方のメッシュ(格子)で確認して超えた場合に大雨特別警報が発表されていました。

2022年6月30日からは、大雨特別警報の発表基準を降った雨から川の洪水危険度を推計する流域雨量指数と、降った雨が地表面にどれだけ溜まっているかを数値化した表面雨量指数を用いることに変更し、さらに雨が降り続くと予想される場合に大雨特別警報を発表するということです。また、使用するメッシュ(格子)を5km四方から1km四方へ変更し、より高い精度での発表につなげたいとの思惑があるようです。

記録的短時間大雨情報大雨特別警報は何が違うの?

記録的短時間大雨情報は、大雨警報が発表されている中で単純に雨量の多さの基準に沿って発表される情報です。

対して大雨特別警報は、大雨が降っていることはもちろんのこと、より細かいエリアで表面雨量・流量雨量・土壌雨量などの基準に沿って発表される情報です。


近年は毎年、大雨による災害によって大きな被害が出ている地域があります。

私たちは、気象庁や地方気象台などが出す情報を得て的確に行動する必要がありますね。注意報や警報、記録的短時間大雨情報大雨特別警報など、発表された情報の重要度を正確に理解して被害を最小限に抑える努力をしたいものです。

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