2022/7/24の20:05頃、桜島が噴火し噴火警戒レベル5が発表されました。桜島の噴火警戒レベルが5になったのは初めてだそうです。
その後、7/27の20:00に噴火警戒レベルは3に引き下げられましたが。では、この「噴火警戒レベル」は、どのような判定基準で発表されているのでしょうか?また、噴石が飛来する可能性のある、桜島から3km範囲にあり避難指示が出された有村町・古里町(一部)はどのような位置関係なのか調査してみました。
桜島の噴火警戒レベルの判定基準は?
桜島の噴火警戒レベルの判定基準
噴火警戒レベルの判定基準については、気象庁が運用をしている49の火山で、その火山の場所などを考慮してそれぞれに定められています。
ここでは、桜島の噴火警戒レベルの判定基準について確認していきましょう。
噴火警戒レベル | 当該レベルへの引き上げの基準 | 当該レベルからの引き下げの基準 |
---|---|---|
5① | 【大規模噴火が切迫】 ・山腹噴火が発生もしくは切迫 山腹からの噴火が開始するか、極めて顕著な山体膨張(島内の傾斜計のいずれかで 100 マイクロラジアンが観測され、大きな地震活動(マグニチュード5ならば1回、マグニチュード4ならば2回)が伴った場合は、大規模噴火発生の可能性が切迫していると考え、全島を警戒が必要な範囲とする ・火砕流が居住地域近く(居住地域まで数100m)に到達 ・溶岩流が居住地域付近(居住地域まで概ね100m)に到達 | 噴火が発生しなかった場合は、観測データにより活動低下が2週間以上続けて認められた場合。山腹噴火が発生した場合は、新たに形成された火口からの警戒が必要な範囲を定める必要がある。居住地域が溶岩流や火砕流に被災した場合は、当該現象が終息した後、関係機関等の対策を考慮しながら、必要に応じ、噴火警戒レベルの再設定を行う。 |
5② | 【これまでみられたような噴火(ブルカノ式噴火)の激化】 ・大きな噴石が火口から概ね2.4kmを超え3km以内に飛散した場合、警戒が必要な範囲は概ね3kmとする。火口から概ね3kmを超え 3.5km 以内に飛散した場合、警戒が必要な範囲は概ね3.5km とする ・火砕流が居住地域近く(居住地域まで数100m)に到達 | 大きな噴石や火砕流が当該距離に影響する噴火が3日間発生しない場合。 |
4① | 【大規模噴火の可能性】 ・溶岩の流出により溶岩が居住地域に接近(居住地域まで500m)・2015 年8月15日のような顕著な地殻変動(島内の傾斜計で1時間に1マイクロラジアン以上)を観測した場合は、火口から3kmを警戒が必要な範囲とするが、桜島付近を震源とするマグニチュード2以上の地震が10回以上(12時間以内)発生した場合は、山腹噴火の可能性が高まったとして、全島を警戒が必要な範囲とする | ・溶岩流の流下が居住地域到達前に停止し、居住地域に影響がないと判断された場合。 ・噴火が発生しなかった場合は、観測データにより活動低下が2週間以上続けて認められた場合。 |
4② | 【これまでみられたような噴火(ブルカノ式噴火)の激化の可能性】 ・大きな噴石が2kmを超えて2.4km以内に24時間以内に3回飛散した場合、警戒が必要な範囲は概ね3kmとする ・火口から約2kmを超える火砕流が発生もしくはその可能性。次のいずれかで判断する ①火砕流が発生して、到達距離が火口から2kmを超えた場合 ②目視できる場合は、火砕流が発生し、到達距離が確認できない場合でも、噴煙量階級6(きわめて多量)の噴煙が10分以上続く場合 ③目視できない場合は、島内の傾斜計において、数時間で1マイクロラジアンの変動が予想される場合 | 大きな噴石や火砕流が当該距離に影響する噴火が3日間発生しない場合。 |
3 | 【火口から概ね2kmを超え2.4kmまで影響を及ぼす噴火の発生】 ・大きな噴石を火口から2km を超え2.4km 以内に飛散させる噴火が発生 【火口から概ね2kmを超え2.4km まで影響を及ぼす噴火の可能性】 ・大きな噴石を火口から2km近くまで飛散させる噴火が発生 ・火砕流の流下が火口から概ね1.5kmを超え、居住地域への接近が予想される場合 | 大きな噴石や火砕流が当該距離に影響する噴火が3日間発生せず、さらなる活動の活発化が見られない場合、レベル3のまま警戒が必要な範囲を火口から概ね2kmまでとする。 |
上表により、今回の桜島の場合は、噴火警戒レベル5の判定基準①には該当しませんが、判定基準②「大きな噴石が火口から概ね2.4kmを超え3km以内に飛散した場合」が該当していると判断されたため、噴火警戒レベル5になったと言えそうです。
桜島の噴火警戒レベルについての補足
それでは、桜島の噴火警戒レベルについてもう少し確認していきましょう。
これまでの桜島の噴火警戒レベルの最高は?
桜島の噴火警戒レベルが5になったのは今回が初めてです。
これまでもっとも噴火警戒レベルが高かったのは、2015年8月から9月にかけての、噴火経過レベル4でした。
ちなみに、日本でこれまで噴火警戒レベル5が発令されたのは、2015年に口永良部島で起こった噴火のみです。
桜島の噴火警戒レベルって2や1はないの?
桜島に限定すると、噴火警戒レベルは2と1を定義していません。
それは、桜島が、様々な条件から常に噴火警戒レベル3相当の火山の状態と判断されるためであって、噴火警戒レベル2や1にはなりえないためです。
桜島の噴火警戒レベルって1つずつ下がるの?
桜島では、噴火警戒レベル5からレベルを下げる場合には、レベル4ではなくレベル3に下げるものとする。との記載もありました。そのため、今回の桜島の場合は、「大きな噴石や火砕流が当該距離に影響する噴火が3日間発生しない場合」は噴火警戒レベルが5から3に下がるものと考えられます。
(2022/07/27追記)20:00に噴火警戒レベルが5から3に引き下げられました。
噴火警戒レベルとは?
それでは、そもそも噴火警戒レベルとはどのようなものなのか確認しましょう。
噴火警戒レベルはいつ開始された?
噴火警戒レベルは、2003年から運用されてきた「火山活動度レベル」から、火山活動状況に関して噴火時等の避難行動等を踏まえ、区分された新しいレベルに変更し2007年12月に制定されたものです。
噴火警戒レベルのそれぞれの内容は?
噴火警戒レベルの、それぞれのレベルの内容を以下の表にまとめました。
今回の桜島は、噴火警戒レベル5の避難になっています。さらに、前述の判定基準から、3kmを範囲とした地域(有村町・古里町の一部)に避難指示を発令している状況です。
桜島と有村町・古里町の位置関係は?
それでは、今回の桜島の噴火による噴火警戒レベル5発表に伴い、居住地域の範囲内として名前が挙がった有村町・古里町と、桜島の位置関係を確認してみましょう。
上記マップにて、「有村溶岩展望所」と「古里町」が見えるはずです。
おそらく、その辺りがそれぞれ「有村町」「古里町」と呼ばれる場所になります。
今回、すでに噴石が2.5km先まで飛来しているということで、範囲内である有村町全域と古里町(の一部)の33世帯51人に避難指示を発令しているということになります。
火砕流の発生なども心配でしたが、大きな被害もなく噴火警戒レベルが5から3に下がりましたので、ひとまず安心ですね。桜島は活火山なので、今後も噴火経過レベルが上がったりすることがあるかもしれませんので注意が必要です。
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