請託ってどんな意味?収賄罪と受託収賄罪の違いは?東京五輪・パラリンピック汚職事件の行方は

2022年8月17日に、東京五輪・パラリンピックを巡る汚職事件で、元理事の高橋治之容疑者が受託収賄容疑で逮捕されました。

この事件は、高橋治之容疑者の会社「株式会社コモンズ」に、AOKIホールディングスから5,100万円が支払われていたという事件となります。

この事件で、AOKIホールディングス前会長の青木容疑者が、高橋治之容疑者へ、スポンサー契約などで多数回の「請託」を行っていた疑惑が浮上してきました。

この「請託」という単語、なかなか耳馴染みがない方もいらっしゃると思います。

そこで、今回は「請託」という単語の意味を確認するとともに、「請託」の有無が関わってくる収賄罪受託収賄罪の違いについて確認していきます。

目次

請託の意味は?

請託の意味は?

それでは、「請託」の意味について確認しましょう。

請託とは?

一定の職務行為をすることの依頼を受けこれを承諾して賄賂を受取ること。特に、公務員に対してその職務に関する行為を依頼することを指す。

請託の意味、これで分かりましたか?

賄賂はわかるけど請託ってよくわからないという方もいらっしゃると思いますので、賄賂と請託の関係性についてもうすこし掘り下げてみましょう。

賄賂と請託の関係は?

では、賄賂と請託の関係について確認しましょう。

賄賂とは?

賄賂(わいろ)は、汚職の一形態。主権者の代理として公権力を執行する為政者や官吏が、権力執行の裁量に情実をさしはさんでもらうことを期待する他者から、法や道徳に反する形で受ける財やサービスのこと。(まいない)とも呼ばれる。

引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B3%84%E8%B3%82

ようするに、賄賂は、自分の利益になるような取り計らいをしてもらうよう「差し向けるため」に金品などを提供することです。

これに対して請託は、賄賂として金品などを提供する見返りに「具体的なアクションを要求する」ことであると言えます。


以上のことより、賄賂と請託の関係をまとめると

  • 賄賂:見返りは期待しているが、具体的なアクションは要求していない
  • 請託:賄賂を渡すことは前提で、見返りに具体的なアクションを要求している

ということになりそうですね。これで何となくわかりましたでしょうか?

東京五輪・パラリンピック汚職事件での請託の内容は?

では、今回の「東京五輪・パラリンピック汚職事件」で、AOKIホールディングスが高橋治之容疑者に行っていた請託は、どのような内容だったのでしょうか?

AOKIホールディングスから高橋治之容疑者への請託の内容は、【大会エンブレムが入ったスーツやジャケットなどの公式ライセンス商品の製造・販売契約に関する取り計らい】です。

この請託の内容について、具体的な「8項目の要望」が記載された要望書が、スポンサーが決定する前の2018年9月頃に高橋治之容疑者へ手渡されたとされています。「8項目の要望」の中身は、

  • 公式ウエアの販売
  • キャンペーンショップの出店
  • 有名選手を採寸した(スーツの)型紙の店頭展示
  • 公式ウエアの迅速審査

などと言われています。

収賄罪受託収賄罪違いは?

請託の意味がなんとなく分かったところで、次は収賄罪受託収賄罪の違いについて確認してみましょう。

収賄罪(単純収賄罪)とは?

公務員が、その職務に関して、賄賂を収受・要求・約束した場合に成立する犯罪です。収賄罪の基本型であり、法定刑は「5年以下の懲役」となっています。(刑法197条1項前段)

受託収賄罪とは?

単純収賄が「請託を受けて」行われた場合に成立します。
「賄賂を贈る見返りに、このようなことをしてください」という具体的な要求があることにより、公務員の職務行為と賄賂との関係が明白になって、職務の公正と国民の信頼が害される危険が高まります。つまり、受託収賄罪は単純収賄罪よりも重たい犯罪なのです。そのため、法定刑は単純収賄罪よりも重たい「7年以下の懲役」となっています。(刑法197条1項後段)

引用:https://keiji.vbest.jp/columns/g_property/5031/

上記より、収賄罪受託収賄罪違い

  • 請託があったかどうか
  • 法定刑の長さ

ということになります。

したがって、上記より今回の事案については

AOKIホールディングスから高橋治之容疑者へ金銭が渡り、その見返りとして【大会エンブレムが入ったスーツやジャケットなどの公式ライセンス商品の製造・販売契約に関する取り計らい】を要求している(請託)疑惑があることにより、今回高橋治之容疑者は「受託収賄容疑」となった

という訳ですね。

東京五輪・パラリンピック汚職事件の行方は?

今回、AOKIホールディングス側から高橋治之容疑者に支払われたコンサルタント料計5,100万円が、公式ウエア拡販の「お願い」や「謝礼」の趣旨を含んだ「賄賂」にあたるかどうかもポイントです。

高橋治之容疑者側は、「AOKIホールディングス側に便宜を図ったことはない」と否定。

AOKIホールディングス側の逮捕者3名も、コンサルタント料の賄賂性について否定しているといいます。

さらに、KADOKAWAにも金銭に絡む疑惑が浮上しています。

今後、捜査が進んでいくうえで真実が明らかになっていくことを期待したいものです。

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