旅行大手エイチ・アイ・エス(HIS)が、長崎県佐世保市にある「ハウステンボス」を香港の投資会社「PAG」に売却することを発表しています。今回、経営権を取得することになった「PAG」は、ブランディングと運営支援のためマーケティング会社である「株式会社刀」に協力を要請したと伝えられています。
「株式会社刀」は、これまで数々のテーマパークの再建に貢献してきた会社のようですね。
そこで今回は、「株式会社刀」という特徴的な名前の由来や会社情報、これまでの実績などを紹介していくとともに、今後のハウステンボスのマーケティング戦略について考えてみました。
株式会社刀ってどんな会社?
それではまず、株式会社刀がどんな会社なのか、会社情報を確認していきましょう。
- 会社名:株式会社刀(かたな)
- 会社所在地:〒550-0004 大阪府大阪市西区靱本町1丁目16番8号
- 法人番号:4010401128674
- 代表取締役:森岡毅
- 会社設立日:2017年10月18日
- 従業員数:35名
- 会社コンセプト:「マーケティングとエンターテイメントで日本を元気に」
株式会社刀の会社所在地については、設立当初は東京都港区にありましたが現在は大阪府大阪市となっています。
株式会社刀の名前の由来は?
次に、株式会社刀の名前の由来について確認しましょう。
日本企業の国際戦略上の「1つの武器」になりたいという意味と、現代の日本企業の武器となるマーケティングを使ってほしいという思いで「株式会社刀」という名前にしたそうです。
具体的には、経営者の「懐刀」になりマーケティングの視点からお手伝いをしたいという思いや、会社内で本当は必要のないプロセスを「刀で」そぎ落としていきたいという思いが込められているそうです。
株式会社刀のこれまでの実績
次に、株式会社刀のこれまでの実績について確認していきましょう。
最初に:株式会社刀が設立されたきっかけは?
株式会社刀の代表取締役CEOの森岡毅さんは、株式会社刀を設立する前はユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)に在籍していました。USJに在籍していた7年ほどの間に、入場料金や年間パスポートの値段を大幅に値上げしながらも、年間集客者数を730万人(2010年)から1,460万人(2017年)と倍にしたという実績があります。
USJ立て直しの実績を受けて、数々の企業からオファーがあったと言いますが、2017年1月にUSJを退社した後、2017年10月に株式会社刀を設立しました。
森岡さんは、株式会社刀の設立について以下のように語っています。
株式会社刀の実績①株式会社トリドールホールディングス(丸亀製麺)
2018年頃、丸亀製麺を運営する株式会社トリドールホールディングスは、800店舗を超える店舗の1店舗当たりの集客数が伸び悩んでいました。トリドールは、なぜ客足が遠のいているのか?という明確な理由がわからず、何の対策をすればわからなかったそうです。
そんな中、関西育ちのトリドールの社長粟田さんが、同じ関西にあるUSJを再建させた森岡さんが立ち上げた株式会社刀にオファーしたそうです。
株式会社刀と丸亀製麺でつくったチームは、「すべての店で、粉から作る」ことを前面に押し出したCMを作りその効果がすぐ現れたと言います。2019年1月に前年比集客数が95%だったものが、株式会社刀とのマーケティング施策を開始させた後、5月には113%までに回復させた実績があります。
株式会社刀の実績②農林中金バリューインベストメンツ株式会社
農林中央金庫のグループ会社で投資運用を担う「農林中金バリューインベストメンツ株式会社」は、2019年8月に株式会社刀と協業することを発表しました。
常々「日本人のお金に関しての考え方を変えないといけない」という考えがあった森岡さんは、農林中金バリューインベストメンツ株式会社の奥野さんと出会い、同じような考え方の人が農林中金の中にいるということに驚いたそうです。
株式会社刀と農林中金バリューインベストメンツ株式会社が協業を開始した後、投資信託商品「おおぶね」を、2021年7月までに、口座数は約7倍、総資産総額は約13倍にした実績があります。
株式会社刀のその他の実績
株式会社刀は、上記でご紹介した以外にも実績を残しています。
- 株式会社西武ホールディングスとの協業:西武園ゆうえんちのリニューアルプロジェクト
- ネスタリゾート神戸との協業:株式会社刀のマーケティング注入にて1年で、集客・売上前年比200%超
- 株式会社ジャパンエンターテイメントの設立:株式会社刀と他4社で沖縄テーマパーク・プロジェクトを順調に進める
これまでご紹介してきたように、株式会社刀は、会社設立以来数々の実績を残してきています。今後も伸長する会社であると言えそうですね。
ハウステンボスの今後のマーケティング戦略は?
では、今回PAGが経営権を取得したハウステンボスに対して、株式会社刀はどのようなマーケティング戦略を打ち出していくのでしょうか?
ハウステンボスの支援について株式会社刀は、「協議中のためお答えできない」としているようですが、ここではUSJの例をもとにいろいろ考えてみましょう。
入場料金や年間パスポートの値段や仕組みの変更は?
株式会社刀がUSJを再建させた際には、入場料や年間パスポートを大幅に値上げしています。ハウステンボスでも、値上げを前提にした変更がある可能性があります。
また、USJの年間パスポートには、「年間パス・ライト」「年間パス」「年間パスVIP」という3種類があります。「年間パスVIP」は1年中どの日でも入場が出来ますが、「年間パス・ライト」「年間パス」には、それぞれ入場除外日が設定されており、例えばクリスマスイブの12/24には「年間パス・ライト」「年間パス」では入場できないという仕組みになっています。
ハウステンボスでは、今のところこのような仕組みはなく、年間パスポートを持っていれば1年中どの日でも入場することが出来ます。しかし、株式会社刀のマーケティング戦略によって今後見直しがあるかもしれません。
アトラクションの増設やイベントの追加は?
ハウステンボス内のアトラクションに関しては、株式会社刀のマーケティング戦略により、アトラクションや施設ごとの利益率などを算出し、最適な見直しを図っていくものと予想されます。
それにより、利益が出ていないアトラクションや施設がなくなるという可能性もあります。
また、USJでもハリー・ポッターエリアの導入で大成功したと言われていますので、ハウステンボスでも、有名な会社やブランドなどとタイアップした新しいアトラクションができることも大いに考えられます。
ハウステンボス直営ホテルの見直しは?
ハウステンボスには、趣やターゲットが違う直営のホテルが5つ存在します。
- ホテルヨーロッパ
- ホテルアムステルダム
- ホテルフォレストヴィラ
- ウォーターマークホテル
- 変なホテル
この直営ホテルに関しても、株式会社刀のマーケティング戦略により、例えば統合や料金見直しなど動きがあるかもしれません。
ここまで、ハウステンボスの今後を勝手に考えてきました。
経営権はHISからPAGに代わりますが、現社長の坂口社長は続投するということでリリースが出ております。
株式会社刀と坂口社長の手腕で、今後もハウステンボスがさらに盛り上がることを期待したいですね!
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